私も以前は感覚で経営をしていた職人型の経営者でした。毎日のサロンワークに追われる日々、独立した時には想像していなかった負担。何一つ雇われ時代と変わらない先の見えない日々でした。

そんな自分の不安で過酷な状態を打開する為、勤めてくれてる従業員の未来のために「経営」を本格的に学び、オープンして2年の時に4つのセット面、3人のスタッフでも月に700万の売り上げを達成させることができました。

小規模サロンでもしっかりと利益を出し続けていく為に1番最初に改革していかなければいけない事とは?

 自分のサロンが最初に取り組んだ事

まず最初に私の経営するサロンが取り組んだ事は「メニュー」の改革でした。

大手ポータルサイトのクーポンでの集客がメインでその時には幸いにも新規が途絶える事はなかったですが、今はその時よりもそのサイトは掲載料も上がり参画サロンも増え、ホットペッパーに掲載すれば集客できるという神話は崩壊してきています。

今後同じように集客できる保証がなかった事、どれだけ集客できても単価の低いメニューの状態ではザルで水をすくうような行為です。

では、なぜ1番最初にメニューを改善するべきかを説明していきます。

新規客の獲得コストは既存客の5倍かかる

新規客取得コストは既存客を再来させる為にかかるコストの5倍の差があると言われています。

今後この数字は10倍まで膨らむとも言われ、小規模サロンが新規集客にかけられるコストには限界がある中、獲得してもそもそも扱うサービスの価格が低いと利益は上がらないです。

そして価格目的の客はよりお得なサロンがあれば簡単に流れてしまいます。

まずは少ない客数でも高単価が取れるサロン、仮に最初はクーポンでも顧客化した時に高単価で回る顧客を作れる環境が必要です。

こなせる数に限界がある

仮に低単価ゆえに集客に成功しても、大手サロンと違いセット面数・スタッフ数が少ないサロンでは黒字化が難しくなります。

単純に単価が低い客層が全席埋めてしまったが故に、高単価の顧客の予約を断らなければいけないかもしれません。

この機会損失は小規模サロンでは致命的になります。断った方が次に来てくれる保証はないですからね。

1日単位ではなく月単位でもなく”年間の単位”で見たときに大きな差が生じますので、単価を上げることができない状態で集客する事は得策ではありません。

スタッフの負担が大きすぎる

数をこなす仕事はスタッフの不満につながります。そこから離職ということも多いに予想できます。”働き方改革”など従業員の働き方が大きく変わり、今後よりその傾向は強くなります。

人材不足の時代にスタッフの不満足を高める働き方はリスクが大きく、離職された時にも新しいスタッフをすぐ雇用できる保証もありません。

少ない労働力で売り上げを確保していく事は労働環境の整備としても必要で、給与に大きく関わる”売り上げ”という結果を作るにもメニューの改正は必要です。セット面数が少ないサロンでは仮に掛け持ちをしても大した人数はこなせません。結局小さなサロンでは数をこなすという方法での営業は向いていないのです。

デメリットの比率が大半を占める低価格営業

このように従業員の”労働環境”、”優良顧客離れ”、そもそもの”箱の大きさゆえの限界値”。

この三点からも小規模サロンが1番に取り組むべき課題はメニュー改革だと言えます。

少ない労働でも利益が確保できる環境、急なスタッフの代謝があっても売り上げを確保できる環境、そこを整えていくことでできることが増えます。

具体的に高単価メニューのサロンに変えていく方法

地域で自分のサロンが選んでもらえる独自性を作る

当然、あなたのサロンでしかできないことであればそこは独占事業になれます。

価格相場を気にする必要もなく、欲しい金額を設定することも可能になります。

この独自性を作る事は難しく感じますが実はそんなに複雑ではなく、あなたのサロンの強みをしっかり伝えられる環境が整っていれば可能な事です。

独自性というのは何も新しい技術や商材だけでなく、当たり前にやっているサロンのサービスの中にも埋もれていたりします。一度サロンのそういった隠れた資産の洗い出しをし、1つ1つを見直してみる事で有料化してもおかしくない物が見つかったり生まれたりします。

本当に欲しがっている人だけにあなたのサロンのサービスを売る

・あなたのお店のサービスは誰に、どんな悩みを抱えている人に受けて欲しいのか?

・お客さんはなぜそのメニューじゃなきゃいけないのか?

・なぜ他のサロンではなくあなたのサロンでなければいけないのか?

この三点を”言語化”できることが大切です。言葉にでき、文字にできて初めて人は理由に対して納得することができます。

そしてそのサービスを探していた人、欲しい人に対して売るから価格ではなく”価値”を提供できます。そうなるとお客さんは料金という部分ではないところにお金を使えるようになります。

逆に言えば、その三点がないからこそ”料金”で判断するしかなく、あなた自身”料金”で呼ばなければいけなくなるのです。

メニューの数をできる限り”絞る”

あなたは自分のサロンの単価を¥10,000に上げたいと考えているとします。

そこを目標に店販商品の提案やトリートメントなどの提案を徹底し自分だけでなく、従業員にも単価UPの提案をさせたりと、思いつく限りの提案で目標に向けて取り組んでいくでしょう。

しかしもっとシンプルに簡単に単価を¥10,000にする方法があります。

それは…

¥10,000のメニューしか存在させなければいい

はあ?と思った人も多いと思いますが考え方は極論だとこういう事です。

購入者を絞らず「なるべく沢山のお客様」というターゲットが故に”メニュー数”を増やしてしまいがちですが、その選択肢の量が原因で本当に売りたいメニューが売れず、売りたくないメニューが動いてしまいます。単価を上げる提案のために新しい商材を入れプラスαを狙ってメニューのランクアップを提案する。そしてまたメニューが増えるということにつながり、もっと売りたいメニューが動きにくくしているのです。低額のメニューをなくしたら当然高額のメニューが動きます。

単価が下がる原因はそういった「上げるため」に用意したメニューや失客を恐れて低い金額でのサービスを残そうとしていることだったりもします。

思い切って「リタッチ」・「前髪カット」・部分パーマなどのメニューをなくしてしまうのも方法としては全然ありです。

超高額メニューを一つ作る

メニューを減らすことも一つですが、逆にさらに大幅に高額なメニューを作るのも有効です。

プライスゾーンの引き上げをすることで、今まで高額で動かなかったメニューや単価UPのために本来狙いたかった金額のメニューがお手頃に見えて購入者が伸びます。

極端の回避性というもので3段階の値段があると真ん中がよく売れるというものです。

もともと一番高額だったメニューの上にさらにハイエンドメニューを置くことで、「松・竹・梅」だった価格帯から「超松・松・竹」に、価格の意識をずらします。

そうする事で本来1番売りたかた「」が売れるようになったりもします。

値決めこそ全てのスタート

このようにメニューを変え、買い手を絞る事で高単価メニューが自動で動くようになり、単価UPの提案を従業員が無理してやっていくよりも効率的に単価を上げることができるようになります。

そして少ない労力で今までと変わらない、もしくはそれを上回る利益も作れるようになり、新規集客コストを捻出できるようにもなっていきます。

その際クーポンで来店して値引きをしていても、その後には高単価でまわる顧客が構築されます。

以上が、小さなサロンが最初に取り組むべき事はメニュー改革だという事です。